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2020年度施政方針




令和2年第2回吉川市議会3月定例会を招集申し上げましたところ、議員の皆さま方におかれましては、ご健勝にてご参集を賜り、心から御礼を申し上げます。本定例会開会に当たり、令和2年度一般会計予算を御審議いただくことを踏まえ、私の市政に対する所信を述べさせていただきます。

はじめに



昨年5月、令和という新しい時代が幕を開け、私たちは新たな時代への第一歩を踏み出しました。当市では、吉川中学校の建設、第二保育所の公設公営再整備、全小中学校へのエアコン設置、さらには吉川美南駅東口周辺地区土地区画整理事業といった大規模事業に積極的かつスピード感を持って取り組み、吉川市の未来を見据えた事業を展開してまいりました。

また、「さくらまつり」や「なまずの日記念イベント」「川まつり」「宇宙関連事業」「産業フェア」「障がい者屋内スポーツ大会」「演劇事業」「文芸よしかわ」「放課後子ども教室」など、吉川市への愛着心と幸福実感の向上につながる事業を市民の皆さまと共に充実させてまいりました。

さらに、それぞれの分野の社会課題を解決するために、「減災フェア」や「高齢化社会を見据えた地域づくりフォーラム」「地域課題を地域で解決するための勉強会」「子ども未来応援集会」「障がい者の地域での生活を考える検討会議」などを積極的に開催し、市民の皆さまと課題意識と活動の一歩目の共有を進めてまいりました。

これらの事業はどれも、第5次吉川市総合振興計画に掲げる「市民の幸福実感の向上」「吉川市の価値を高める」「共にまちを想い、共にまちを創る」という3つの基本理念をベースとしており、着実に総合振興計画が進められてきたということに他なりません。

私は、市長就任時から、「価値ある未来を共に」を市政運営のテーマとし、市民一人ひとりの意見に耳を傾け、「市民と行政の共動」を進めてまいりました。市民の皆さまに主体的にまちづくりに関わっていただき、共動を心掛けながら市政運営を展開することで、未来に向けて効果的な事業が展開され、それぞれの事業には厚みが増しています。

この姿勢は今後も揺るぎないものであり、令和2年度においても、引き続き、市民の皆さまや専門家の方々との意見交換を重ね、丁寧かつスピード感を持って「市民一人ひとりが幸福実感を得られる未来」「持続可能な未来」を目指して、「価値ある未来」を共に創り上げてまいります。

こうした、これまでの、そして現在の市政運営の状況を踏まえ、令和2年度の当初予算編成方針では、職員に対し、各事業において「どのように市民との共動を図っているか」を考察し、「どのように市民の幸福実感の向上につながっているのか」「どのようにSDGsに関連するのか」をしっかりとまとめ、そのうえで、「事業効果の増」「事業費の減」を目指し、課や部を超えた横の連携を図った事業計画・予算編成を行うよう指示しました。

令和2年度の国の動向に目を向けると、経済見通しについては、『令和2年度の経済見通しと経済財政運営の基本的態度』において、「総合経済対策を円滑かつ着実に実施するなど、我が国の経済は雇用・所得環境の改善が続き、経済の好循環が進展する中で、内需を中心とした景気回復が見込まれる」としており、今後の経済財政運営にあたっては、引き続き、「経済再生なくして財政健全化なし」の基本方針のもと、デフレ脱却・経済再生と財政健全化に一体的に取り組むとしております。また、少子高齢化に真正面から立ち向かい、若者も高齢者も女性も障害や難病のある方も皆が生きがいを持ち活躍できる一億総活躍社会の実現に取り組むことや、自然災害からの復興や国土強靭化、観光・農林水産業をはじめとした地方創生、地球温暖化などSDGsへの対応を含むグローバル経済社会との連携など重要課題への取り組みを行うことが示されております。

こうした経済情勢や国の動向、時代の潮流を常に注視し、変化に柔軟に対応するとともに、国や県とも連携を密にすることにより事業連携や財源確保に努めてまいります。

また、今年は東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会が開催され、期間中はオリンピックムード一色となり、各種競技への関心とともに、ボランティア活動や障害者スポーツなど、あらゆる分野において国民の関心が高まることが予想されます。当市においては、7月8日にオリンピック聖火リレーが開催され、さらに、市内の中学生が聖火ランナーに選出されており、市としても、オリンピック聖火リレーのコンセプトである「Hope Lights Our Way~希望の道を、つなごう。」を尊重し、市民の心に残る1日となるよう準備を進めるとともに、オリンピック・パラリンピックに関連した事業を展開するなかで、これを好機ととらえ、スポーツと健康長寿、障害者スポーツ、バリアフリー、多文化共生などにも焦点をあてて取り組んでまいります。

そうした中、吉川市の「価値ある未来」を構築していくための基本となる「第5次吉川市総合振興計画」と「都市計画マスタープラン」が、令和3年度をもって計画期間の満了を迎えることとなりますので、令和2年度から2年間かけ、社会構造の変化や市民ニーズを見据えながら、「第6次吉川市総合振興計画」の策定と「吉川市都市計画マスタープラン」の改定を進めてまいります。策定にあたっては、吉川市の特性をあらゆる方面から改めて検証するとともに、市民の皆さまに対し積極的な情報提供と参画の機会を確保し、特に未来を担う若者からの意見聴取に配慮し、「市民との共動」による計画づくりをはじめ、庁内横断的な連携とSDGsの視点などを踏まえた計画策定を進めてまいります。

以上をふまえ、令和2年度吉川市一般会計は230億3,200万円、特別会計総額は150億5,212万9千円、企業会計総額は50億5,790万1千円の予算案となっております。






それでは令和2年度の市政運営と主要施策について、「第5次総合振興計画・後期基本計画」をもとに、説明させていただきます。

重点テーマ「Ⅰ 市民の安全・安心を高める」



はじめに、重点テーマの1つ目は「市民の安全・安心を高める」でございます。

令和元年10月、埼玉県内にも大きな被害をもたらした台風19号では、吉川市においても避難勧告を発令し、市内8か所の避難所におよそ800人が避難するなど、非常に緊迫した状況の中、眠れない不安な夜を市民の皆さまが過ごしたことは記憶に新しいところであり、頻繁に発生する大規模な自然災害に対し、行政だけではなく関係機関や地域住民と連携し、さらなる減災への取り組みを進めること、また総合的な治水対策について改めて検討を行うとともに、引き続き河川管理者である国や県との連携を図ってゆくことなど、危機意識を持って対応を進めております。

そうした中、当市では、平成29年を「減災元年」と位置づけ、「自然災害は人知を超えたものであり、すべてを防げるものではなく、謙虚に少しでも減らす」という意識を持ち、「自助・共助・公助」が一体となった様々な減災対策施策を展開してまいりました。 

「減災プロジェクト」については、これまで、震災編として美南小学校と三輪野江小学校において、水害編として吉川小学校と中曽根小学校において実施してまいりました。5回目となる令和2年度は、昨年10月の台風19号において江戸川・利根川の水位が大きく上昇したことを受け、江戸川の重要水防地区である旭地区を舞台に、「水害」を想定したプロジェクトとし、「市民にとってより現実的な減災訓練」「防災関係機関等との連携強化」をテーマに地域における減災力の向上と体制の強化を図ってまいります。

私は、様々な機会を捉えて「行政だけではすべての市民の命を救うことはできない」ということをお伝えしてまいりました。この自助・共助の意識向上をさらに推進するため、中曽根小学校区をモデル地区とした「避難所開設・運営マニュアルの作成」「地区防災計画の策定支援」に引き続き取り組むとともに、「市民の備え」を充実させるため、減災講演会やセミナーを開催し、減災意識の啓発を実施することで、災害時の多様な視点に対応するための人材育成にも努めてまいります。

また、地震や大雨による災害の危険性を示した地図や避難行動に関する情報などをまとめた「吉川市防災マップ」については、最新の情報を収集し、わかり易く利用しやすい内容に刷新するための検討を進めるとともに、水害に対する危機意識醸成のため、電柱に浸水深を表示する「水害関連標識」の設置を進めてまいります。

さらに、「要支援者に対する支援方法」として、自治会や民生委員・児童委員など地域活動の核となる支援者の方々に「災害時要支援者名簿」を配布するとともに、スムーズに見守り・声かけが行えるよう「支援者向けマニュアル」の作成を進めてまいります。

また、大規模災害による被災地の復旧・復興には、ボランティアの力が大きな役割を果たしています。被災地の課題を把握し、被災者と災害ボランティアをつなぐ役割を担うのが災害ボランティアセンターです。大規模自然災害に備え、災害ボランティアセンターの設置運営に関して吉川市社会福祉協議会と協定を締結していくとともに、災害ボランティアセンターの立ち上げと運営訓練も実施してまいります。

消防体制においては、令和元年度は、消防第6分団において機械器具置場の再整備が完了したところであり、令和2年度においては、吉川、きよみ野などの地区を担当する消防第5分団の機械器具置場について、規模を拡張したうえでの整備を推進し、消防団活動の環境整備に努めてまいります。






重点テーマ「Ⅱ 子どもの笑顔で満たされたまちをつくる」



次に、2つ目のテーマ「子どもの笑顔で満たされたまちをつくる」の実現にあたっては、安心して子供を産み育てられる環境の中、確かな学力と豊かな心、健康と体力、そして未来を生き抜く力、すなわち非認知能力を身に着けた子供を育てるとともに、誰一人取り残さない社会の実現を目指していくことが重要であります。

「児童福祉の推進」については、「第2期子ども・子育て支援事業計画」をスタートさせ着実な推進を図ってまいります。また、令和元年度から「子どもの貧困対策推進計画」に基づいて取り組みを開始した子供の貧困問題に対しましても、「子ども未来応援集会」やひとり親家庭の子供との交流を通じて、直接子供を応援する「未来への輪」事業を実施することで、地域や関係機関との連携をより一層推し進め、支援の輪を広げてまいります。さらに、年々増加している児童虐待事案や児童虐待相談への対応については、令和元年度に日本女子大学の和泉広恵先生と医学博士の高橋和巳先生を招いて保育士などの支援者を対象とした講演会を開催したところであり、これを受け、市と保育所・幼稚園などの関係機関がより密接に連携しながら早い段階から対処できる仕組みづくりを進めるほか、庁内における個別カンファレンスの強化も図ってまいります。

令和元年10月1日から幼児教育・保育の無償化制度が開始となり、子育て家庭の経済的負担の軽減や選択肢の拡大などにより、これまで以上に保育ニーズの高まりが予想されます。当市では川村学園女子大学のお力をいただきながら、市内の民間保育所と協力し「保育の質」向上に関する協議を進めてきておりますが、さらなる「保育の質」向上に向け、研修会や情報交換会の実施などに取り組んでまいります。さらに、新年度から公設公営の新園舎での保育が始まる第二保育所をはじめ、引き続き保育環境の充実に努め、保護者が安心して子供を預けられるよう安全で安心な保育に努めてまいります。

「学校教育の充実」については、吉川市教育大綱「家族を 郷土を愛し 志を立て 凛として生きてゆく」のもと、吉川市独自の「志教育」を進め、「学力向上」「体力向上」「非認知能力の育成」の3点を重視し、様々な教育活動の充実を図ってまいります。

そうした中で、平成30年度から、千葉大学との連携のもと実施している「勇者の旅」プログラムは、「いじめ・不登校対策プログラム」として、その効果が明らかになってきていることから、令和2年度においては、これまで取り組んできた北谷小学校・関小学校の2校に加え、すべての小学校において実施してまいります。

また、平成28年度から実施してきた小中連携事業については、市内すべての小・中学校に拡充し、中学校区ごとに小中合同の研究活動を行い、志教育、学力向上を推進するとともに、地域と共動する学校としてのあり方について、地域の皆さまと共に研究してまいります。

さらに、ICT教育の推進については、国の動向を注視しながらICT教育環境の整備を進めるとともに、効果的な教育ができるよう教員のICT活用指導力の段階的向上を図るため、ICT支援員を各学校に定期的に派遣してまいります。

また、こうした学校教育の充実を図るためには、「学校教職員の負担軽減」が重要であることから、引き続き「学校事務支援員」の計画的な活用を図るとともに「校務支援システムと教員業務の連携」により、教員の業務量軽減につなげ、児童生徒と向き合う時間を確保することで、教育効果を高めてまいります。

特別支援学級においては、モデル的に栄小学校に導入した学習ソフトを他の特別支援学級においても導入し、一人ひとりの個性や力を活かした学習活動ができるよう環境を整備してまいります。また、当市の特別支援教育のさらなる充実を図るため、子供の言語や情緒の発達に応じて指導する「通級指導教室」について、現在、関小学校にある「ことばの教室」のうち1教室を北谷小学校に移設し、児童のより良い成長につなげてまいります。

不登校対策の一つとして、令和元年度から開始しているアウトリーチ事業については、生徒の家庭へ訪問してのコミュニケーション回数が増えており、継続実施することで生徒一人ひとりが自立できる支援につなげるとともに、その効果を検証してまいります。また、少年センターの適応指導教室に通う子供達の学びの充実を図るため、個人で学習できるスペースの拡大やタブレット端末が活用できるよう少年センターの環境整備を進めてまいります。

今年4月1日には、いよいよ吉川中学校が開校します。建設にあたっては、基本コンセプトを「近隣の学校と連携し、地域社会に寄り添う中学校」とし、地域の皆さまのご意見をいただきながら準備を進め、吉川市で4番目の中学校として開校する運びとなりました。吉川中学校では、ICTの先進的な活用、SDGs、教職員の働き方改革を積極的に推進し、その成果や課題改善を他校へも展開するとともに、教育委員会の指導主事を積極的に学校へ派遣し、施設を効果的に活用できるよう、学校と連携して吉川市の教育活動のさらなる充実を図ってまいります。

児童館につきましては、平成30年度に児童館開館30周年事業として実施した「国際宇宙ステーションリアルタイム交信事業」において高まった市民の宇宙への興味関心をさらに深める機会となるよう、児童館においてJAXA職員による講演会や、子供達の宇宙への夢を育む宇宙関連事業を実施してまいります。

 




重点テーマ「Ⅲ まちの価値を高める」



次に、3つ目のテーマ「まちの価値を高める」でございます。

私はこれまで、数多くの企業や農家を訪問し、意見交換をさせていただいています。また、市長キャラバンやどこでも市長など、あらゆる機会を通じて多くの市民の皆さまの声に耳を傾け、吉川市の現状や課題などの把握に努めてまいりました。そうした中で、地域の活性化を図り、持続可能なまちづくりを進め、「まちの価値を高める」ためには、地域産業である農業や商業、そして工業の活力をより高めていくとともに、多様な就業ニーズに応えていくことが重要であると捉えています。加えて、市民の皆さまが吉川市の魅力を知り、好きになり、自慢したくなるよう、郷土愛を醸成することも重要であります。

その郷土愛への一歩目は、自分の住んでいるまち吉川市の「歴史文化」を知ることであります。平成29年度は「大沢雄一物語」、平成30年度は「宮﨑吉之助物語」、そして、令和元年度は、子供達の笑顔とおもちゃ業界全体の発展に尽力した、株式会社タカラトミーの創業者である「富山栄市郎物語」のリーフレットを、吉川の再発見と郷土愛の育成を目的に刊行し、多くの方々にご支持をいただきました。令和2年度は、これらのリーフレットを活用し、吉川市の子供達に「志を立て凛として生きる」ことの大切さを伝えてまいります。また、平成29年度から、子供達、外国籍の方、ハンディキャップのある方、市内のアーティストなど様々な市民の皆さまと作成に取り組んできた「新たな昔ばなし絵本」を刊行し、子供への読み聞かせなど、多くの方に親しんでいただけるよう取り組んでまいります。

農具・民具など歴史資料を展示・保存している郷土資料館においては、所蔵資料の整理を進める中で、郷土資料館のあり方を検討しつつ、吉川の歴史について学ぶ展示会や学習会を開催してまいります。

吉川市には、河川の舟運により発展してきた歴史があります。しかし、様々な恵みをもたらしてくれる一方、ひとたび氾濫すると大きな被害を生み出してしまうのが河川です。そうした河川の恵みと恐ろしさを広く知っていただくために、平成28年度から、中川、ウエットランド、大場川とそれぞれの場所で親水啓発事業に取り組んでまいりました。令和元年度は、これまでの大場川での和舟乗船体験などのほか、川の博物館による展示を取り入れるとともに、農業体験や、農産物の販売、工場見学など、大場川のみならず周辺地域の魅力をテーマに、スタンプラリーを組み合わせて、参加者の皆さまに地域を散策していただきました。また、このイベントはSDGsを知る機会の創出もテーマの一つとしており、参加者の皆さまよりご好評をいただきました。令和2年度も、吉川市の歴史や文化、農業や商工業の魅力を活かし、持続可能なまちづくりに向けた、地域に根差した愛されるイベントとなるよう、関係者の皆さまと作り上げてまいります。

7月2日の「なまずの日」を記念するイベントや、当市で第1回目を開催し、今年第5回目の開催を岐阜県羽島市で予定している「全国なまずサミット」においては、当市のシンボルである「なまず」によって、市民の誇りと郷土愛を醸成するとともに、観光資源としても全国に向けてPRを図ってまいります。

また、各小学校の総合的な学習の時間で実施している「なまずを用いた学習」についても、なまずを通して吉川市の文化歴史をよく知ることができる貴重な体験学習として、引き続き小学3年生に実施してまいります。

「文化芸術」は、人々の創造性を育み、心のつながりや相互に理解し合う土壌を提供し、多様性を受け入れることができる心豊かな社会を形成するものであり、当市では、「文化芸術を総合政策として推進するための基本的な方針」を定めています。

「文藝よしかわ」は、令和元年度が第4号の刊行となり、年度末の刊行に向けて編集作業を進めていますが、幅広い地域、世代からの毎号300点を超える応募作品から選考された掲載作品はどれも素晴らしく、選考委員の方からも高い評価を得ています。また、昨年スピンオフ企画として実施した「俳句探検団」では、「文藝よしかわ」短歌・俳句・川柳部門の選考委員である田中章義氏を講師にお迎えし、参加した小学生がなまりんバスで市内を巡り、中川や公園で、思い思いに俳句づくりに取り組み、感性豊かな作品が生まれました。今後は俳句協会の皆さまなどのご協力をいただきながら、これらの事業を継続して取り組み、文芸活動の普及向上のみならず、世代間交流、郷土愛の醸成、高齢者の生きがいづくりなどを図ってまいります。

「演劇プロジェクト」は、「埼玉県」そして「彩の国さいたま芸術劇場」の特別なご協力のもと、平成29年夏に初公演「Y市のフシギな住人たち」、平成30年に「あゆみ」、そして昨年は子供も楽しめる「らしょうもんのおに」を上演しました。今回も、参加した市民の方々は、年齢やハンディキャップの有無に関わらず力を合わせて稽古を重ね、当日は、会場である市民交流センターおあしす多目的ホール全体を使って躍動し、演者と観客が一体となった舞台となりました。これらは、蜷川幸雄先生が高齢者の演劇集団「さいたまゴールド・シアター」を通して未来に向けて蒔いた種が、職員、演者、観客といった多くの人々の心に花を咲かせたものです。昨年からは資金面で支えてくださる企業の方々も増えました。ここまで積み重ねた演劇事業をさらに大輪の花として、次世代に渡すためにも、「演劇表現と人の生の交差から生み出されるもの」を「まちづくり」に結び付けてゆくチャレンジをこれからも続けてまいります。

そうした中、文化芸術振興を目的にご寄附いただいた金額を積み立て運用する「吉川市文化芸術振興基金」を設置し、文化芸術の振興を図ってまいります。

また、「文化芸術を総合政策として推進するための基本的な方針」に基づき、「文化芸術の振興」のみならず、「高齢者の健康長寿」、「子供達の表現教育」、「多世代交流」、「地域の絆づくり」など、市の様々な課題を解決するために、部署間の連携を図る中で展開してきた「放課後子ども教室における文化連盟との共動」、「いきいき運動教室における演劇療法」、「平和のつどいにおける朗読劇」などの「文化芸術を総合的な政策として活用する事業」を継続して推進し、まちの価値を高めてまいります。

農業分野については、これまで農産物のブランド化や市内外でのイベント開催などによる吉川市の農業のPRに取り組んできましたが、特に昨年千葉県松戸市で開催された「全国ねぎサミット」では、生産者、JAさいかつ、市の3者が共動し、全国へ吉川ねぎをPRすることができました。今年も山形県新庄市で開催が予定されている「全国ねぎサミット」でのPRを始め、引き続き農業の魅力発信に取り組むべく、任期付職員として採用している「吉川ねぎ夫」を最大限活用したPRを展開してまいります。

また、次世代の視点を取り入れた持続可能な産業としての独自の都市近郊農業を確立するため、昨年7月に包括連携協定を締結した千葉大学園芸学部との研究事業により、三輪野江地区での整備を検討している農業拠点施設や、吉川市の農業の将来像について研究を進めてまいります。

商工業については、「吉川市における幸福実感向上を目指したまちづくりのための産業振興基本条例」と「吉川市産業振興計画」に基づき、事業者・勤労者・市民の幸福実感向上につながる事業を進めているところですが、令和2年度は、農・商・工連携によるまちの活性化を目指し、多くの農商工関係者に参加いただく異業種交流を進めることで、吉川産食材を使った新商品の開発につながるよう支援してまいります。

「吉川大吉ブランド」については、平成30年度の認定後、市内外から反響があり、認定事業者の方々からは「商品の認知度向上や販売が増加した。」との声もいただきました。現在の認定期間は令和2年度末までとなっていることから、商品の拡充を図り、新たな「吉川大吉ブランド」の認定を行ってまいります。

また、市内製造業では、経営者の半数以上が60歳を超え、事業承継に関する課題が潜在していることから、円滑な事業承継が図れるよう、まずは事業承継について考えるきっかけとするためのセミナーを開催してまいります。

さらに、「住宅改修費補助金」については、多くの市民の方々にご利用いただき住環境の改善が図られるとともに、地域経済へも毎年5千万円を超える効果をもたらしていることから、さらなる推進のために補助金総額を増額してまいります。

多様な働き方の支援については、令和元年度に期間限定でサテライトオフィスを開設するとともにテレワークセミナーを開催したところであり、引き続き市民一人ひとりのライフスタイルやライフステージに合わせた多様な働き方を支援してまいります。






重点テーマ「Ⅳ まちの住みよさを高める」



次に、4つ目のテーマ「まちの住みよさを高める」でございます。

快適な都市環境を実現するには、多くの時間と財源を要することから、市民の皆さまのご理解とご協力のもと、快適な都市環境の実現に向け、計画的に一歩ずつ着実に前進させていくことが重要です。

「公園再生プロジェクト」については、「関公園」において新たなアスレチック遊具を設置し筑波大学の協力を得ながら「非認知能力」の向上につなげる事業を展開するとともに、「保第3公園」において地域の皆さまのご意見を取り入れながら園内にある水の流れを活かした公園再生を進めてまいります。また、他の公園についても、管理協定による市民活動のさらなる支援など、公園を地域コミュニティの場として、より親しみを感じていただけるよう展開してまいります。

「都市計画道路越谷吉川線」のうち、県の施工区間については、令和2年度の暫定供用と令和4年春の完成を予定しており、吉川橋の美装化を含めた上部工と取付け道路の工事が計画どおり進捗するよう県と連携を図るとともに、当市の施工区間である大場川から加藤平沼線までの区間については、橋の上部工と護岸工事を計画的に進め、早期の完成を目指してまいります。

「JR武蔵野線吉川駅北口の再整備」については、利便性の向上を目指し、交通広場の環境改善を図るため、現況測量を行うとともに、まずは歩道のバリアフリー化などの改善を図ってまいります。

また、吉川駅周辺におけるムクドリ対策についても新たな手法を導入し進めてまいります。

「市民農園再整備」については、開設以来、市民の余暇活動や高齢者の生きがいの場、児童生徒の体験学習など、多様な目的で多くの市民に親しまれてきましたが、農業と地域の拠点としてのさらなる魅力向上を図るため、平成29年度に開催した市長キャラバンや平成30年度に実施した可能性調査を踏まえ、昨年、最終調整として、再度、市長キャラバンを開催し、地権者や参加者と意見交換を行ったところでございます。令和2年度は地域に根差した持続可能な魅力溢れる施設となるよう、意見交換の結果を踏まえた再整備に着手してまいります。

三輪野江地区については、国、県などとの協議を重ねながら、地区の皆さまとの意見交換も行い、農業拠点施設の整備検討を進めていますが、今後はインターチェンジのフルインターチェンジ化に備えた周辺道路の測量調査等にも取り組み、地区の発展を目指して、計画的な土地利用の推進に努めてまいります。

平成29年にスタートした「吉川美南駅東口周辺地区土地区画整理事業」は、これまで地権者の多くの皆さまのご協力を得ながら着実に進んでおり、現在、現地では盛土工事をはじめ、下水道工事や調整池工事などを行っています。今後は水道やガスなどのライフライン工事にも着手し、駅前を中心とした先行整備箇所の宅地完成に向け、事業を推進してまいります。

そうした中、当地区で取り組んでいる企業誘致においては、産業ゾーンに1社目の食料品製造工場の立地が決まったところでございますが、引き続き、産業ゾーンと商業業務ゾーンでの企業公募を実施し、地域の魅力向上に貢献していただける有望な企業の選定に努めてまいります。 

また、吉川美南駅東口周辺地区のまちづくりコンセプトである「笑顔と緑あふれるみんなの庭」の実現に向け、文化施設などの公共施設の整備について検討してまいります。

「充実した公共交通網の整備」については、公共交通のさらなる利便性の向上を目指し、市民ニーズを捉えながら、鉄道事業者や路線バス事業者に対する要望を継続して行うとともに、平成29年12月から実施した高齢者のタクシー利用料助成事業について、3年間の試行期間の終了を迎えることから、移動実態調査や利用者アンケートの結果などを踏まえ、事業の検証を進めてまいります。

また、昨年設立した「新たなモビリティサービスによる『まち』づくり協議会」において、市民の移動に係る利便性向上について、学識者、民間企業と共に研究を進めてまいります。



次に、「第5次総合振興計画・後期基本計画」の主要施策を説明させていただきます。




まちづくりの目標
「ふれあい・交流・協働のまちづくり- 市民交流部門」



「市民交流部門」については、第13回マニフェスト大賞優秀賞を受賞し先進的な取り組みとして全国から注目されている「市民シンクタンク」、「みらいステップアップ助成金」事業を継続して実施するとともに、昨年度立ち上げた自治連合会、市民、専門家、学生などで構成する「地域課題を地域で解決するための勉強会」での研究を引き続き推進し、令和2年度は「地域減災のための新たな組織づくりと活動」「多文化共生」「高齢者支援の取り組み」といった個別テーマごとの研究を深め、市民と共動によるまちづくりを進めてまいります。

また、男女共同参画の推進においては、次期基本計画策定のための市民意識調査を行い市民の意識を把握するとともに、LGBTといった多様な性のあり方について理解が得られるよう啓発を図るなど、多様性を認め合い、すべての人が自分らしく生きることができるまちを目指します。

国際交流の推進においては、市民からの継続要望により「多文化共生講師派遣事業」を引き続き実施するなど、地域に浸透しつつある多文化共生の気風をさらに高め、それらを地域自治、災害対策などに結び付け、市民の幸福実感の向上を図ってまいります。






まちづくりの目標
「元気・健やか・幸せのまちづくり- 健康福祉部門」



「高齢者福祉」については、「高齢者が幸福を実感し、住み慣れた地域で生きがいを持って暮らし続けられる」ことを理念に、地域包括ケアシステムを推進するため、介護予防・日常生活支援総合事業の体制整備として基準緩和の通所型サービスの実施をはじめ、買い物支援や公共交通を補う移動支援に取り組む自治会などへの支援といった新たな事業を展開するとともに、地域における支え合いを考えるきっかけづくりとして「高齢化社会を見据えた地域づくりフォーラム」を開催してまいります。

また、高齢者がいつまでも元気でいられるよう、健康寿命の延伸を図る取り組みとして、引き続き、元気な高齢者を紹介した「吉川スタイル」ブックによる啓発や、地域型介護予防教室、演劇などの芸術活動を取り入れた運動教室を開催するとともに、新たに、筋力量の低下など身体状態を把握するためのフレイルチェックや、歯科口腔保健事業である「80歳で自分の歯が20本以上ある方への表彰」に加えて、さらに「90歳で 20本ある方への表彰」を行うなど、高齢者の健康意識醸成に努めてまいります。

また、令和3年度から令和5年度までを計画期間とする第8期高齢者福祉計画・介護保険事業計画を策定し、地域包括ケアシステムを推進するための体制づくりに取り組んでまいります。

「障がい者福祉」については、当事者、保護者、学校関係者、支援団体との連携による「障がい者の地域での生活を考える検討会議」において、意見交換、現地視察などを重ね、また、「どこでも市長」や「定期懇談会」などにより三郷特別支援学校・越谷特別支援学校の保護者の皆さま、吉川市手をつなぐ育成会の皆さまとも協議を重ね様々な角度から「障がい者福祉」について検討を行ってまいりました。

そうした中、現在、障害者の就労支援とグループホームに関してのアンケート調査をすべての障害者の皆さまにお願いしているところであり、その結果を今後の施策展開に反映してまいりたいと考えております。

障害者の就労については、これまでの市役所での就労体験の実績を踏まえ、知的障害のある方を市役所にて非常勤職員としてモデル雇用し、民間企業における障害者雇用の促進を図ります。

昨年、移転・拡張した「こども発達センター」については、子供達の発達の向上はもとより、保護者の皆さまからも大変喜ばれており、引き続き、子供達の発達に合わせたきめ細かい療育を行ってまいります。また、「中川の郷療育センター在宅支援棟」の新たな整備により、重症心身障害児者の方々の在宅支援サービスの充実も図ってまいります。

障害者スポーツにおいては、東京2020パラリンピック競技大会を契機に、「障がい者屋内スポーツ大会」をより多くの方々とスポーツが楽しめるイベントにさらに成長させてまいります。

令和2年度から施行される手話言語条例においては、手話が言語であるとの認識に基づいて、手話に関する事業を積極的に展開し、その一つとして「あいサポート運動」を当事者や関係団体の皆さまと協力しながら実施してまいります。

「健康づくり」については、各種健診の受診率向上に努めるとともに、当市の特定保健指導実施率がとりわけ高く県内トップクラスである強みを活かし、生活習慣の改善による疾病予防や重症化予防に力を入れて取り組んでまいります。併せて市民の自主的な健康づくりを進めるため、「健康・体力づくりポイント制度」や「埼玉県コバトン健康マイレージ」を引き続き実施するとともに、楽しみながら参加できるイベントとして農産物の生産者や工場をめぐるウォーキング事業を実施してまいります。

健康づくりの取り組みにおいては、他機関との連携も効果的であると考えており、平成30年度は川村学園女子大学と共同で健康メニューを作成し、令和元年度は新たに明治安田生命保険相互会社、第一生命保険株式会社と健康増進に関する連携協定を締結しました。健康メニューを普及し、より良い食生活の実践を進めるとともに、民間企業との連携協定を活用し、文化芸術活動やスポーツ推進などの視点も取り入れた健康増進施策の実施を図ってまいります。

また、私達の日々の食事が様々な動植物の命によって支えられていることを学ぶことができる親子料理教室を開催し、子供達の「命をいただく食育」の推進を図ってまいります。

さらに、安心して出産、育児ができるよう引き続き「子育て世代包括支援センター」を中心として、妊娠期から子育て期までの切れ目ない支援を行うとともに、造血幹細胞移植を受けた子供に対し、新たに再接種費用の助成を行い、高額となる費用負担の軽減を図ってまいります。

「スポーツによる健康・体力づくり」については、中長期的なビジョンのもと、スポーツ推進に「健康づくり」や「介護予防」などの視点を取り入れながら各部署が横断的に取り組んでまいります。

また、総合体育館を快適に活用していただくために修繕を進めるとともに、市体育協会との共催による「スポーツフェスティバル」を開催し、スポーツの楽しさを体験していただき、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会の機運を醸成してまいります。

「総合運動公園」については、他市の状況について調査を行うとともに市長キャラバンを実施し、様々なご意見をいただきました。今後は、これらの情報を基に課題やニーズを整理し、それらについて検討を行ってまいります。

「屋外の市民プール」については、老朽化が著しく、安全を確保し機能を維持するために多大な経費がかかることから、令和2年度においては休場とし、今後のあり方について検討してまいります。

「健康保険・年金による社会保障」については、国民健康保険事業が持続可能なものとなるよう、健全で安定的な財政運営に努めてまいります。






まちづくりの目標
「うるおい・安心・快適なまちづくり - 生活環境部門」



全世界での取り組みが進められているSDGsは、それぞれの自治体での取り組みの積み重ねが重要であり、当市においては、「なまずサミット」や「川まつり」などにおいてもSDGsに係る取り組みを進めております。

また、環境施策を進めるにあたり、私たちが生活するために必要不可欠と言えるエネルギーとの関わりは、持続可能な社会を考える上でも重要なテーマと捉えており、引き続き学識者などとの意見交換や勉強会を基に、エネルギーの地産地消の可能性を探りつつ、SDGsを視点としたあるべき姿を描けるよう「エネルギービジョン」の策定を進めてまいります。

さらに、令和2年度に期間満了を迎える「エコオフィスよしかわ」についても、地球温暖化対策法に基づく実行計画として、その改定に取り組んでまいります。

「上水道事業」については、将来にわたって持続可能な水道事業を実現するため、安全、強靭、持続の3つの視点から水道ビジョンの策定を進めているところであり、今後も引き続き安定的で信頼される水道を目指し、多くの市民の皆さまに水道事業の現状を理解していただけるようイベントなどを実施するとともに、石綿管の布設替えや配水ポンプ制御盤の更新など各事業を推進してまいります。

また、災害の備えとして、応急給水体制を確立するための応急給水訓練を、県と連携し、市民の皆さまとの共動で実施してまいります。

「防犯体制の充実」については、犯罪発生の抑止と市民の防犯意識向上を図り、市民が安心して暮らせる環境整備に向け、昨年3月にドライブレコーダーを登載する車両を所有している事業者や団体、埼玉県吉川警察署、市の三者による「地域防犯活動の連携及びドライブレコーダーの記録データ提供に関する協定」を締結したところであり、さらに、今後は、防犯カメラを駅前広場などの公共空間へ設置するための庁内検討会を設け、市民要望や犯罪発生状況などを踏まえ、関係機関と協議を行いながら防犯カメラ設置についての基本方針を整備し、設置に向けての準備を進めてまいります。

「児童・生徒の登下校の安全確保」については、昨年から防災無線を活用した見守り放送において、各小学校の児童による音声での放送を開始したところであり、引き続き、子供達自らの声での見守り放送を実施するとともに、交差点への車止めの設置やゾーン30の整備、吉川中学校周辺歩道への防犯灯整備など、通学路の安全対策に取り組んでまいります。また、旭小学校の子供たちの下校の見守りにおいて、地域の皆さまのご協力により、見守り組織が再編され子供の安心・安全につながっていることから、モデルとなるこの活動を市として今後もサポートし、普及を図ってまいります。

「交通安全対策」については、交通安全対策を総合的かつ計画的に推進するため、令和3年度から5か年計画とする「第11次吉川市交通安全計画」の策定を進めてまいります。また、悲惨な交通事故を当市から1件でも減少させるため、交通安全母の会や交通安全協会吉川支部、警察署など、関係機関と協力・連携し「自転車の安全利用の推進」「高齢者の事故防止」を重点課題として取り組んでまいります。






まちづくりの目標
「まちづくりの推進のために - 行政運営」



「広聴広報」については、これまで取り組んできた「市長キャラバン」「どこでも市長」「市長とランチミーティング」などによる意見交換を積極的に行い、市民の皆さまの想いを計画の策定や事業の実現に繋げていくとともに、広報紙等の既存媒体に加え、コミュニティFM、デジタルサイネージ、SNSなどの新たに取り組んできた媒体もさらに充実させ、市民の皆さまとの情報共有に努め、市民と行政との共動を進めてまいります。

「行財政改革」については、業務の効率化をはじめ、職員の事務負担の軽減や市民サービスの向上を図るため、保育所入所選考に係る業務において、AI(人工知能)を活用した取り組みを進めてまいります。

「人事管理」については、多様化する住民ニーズに的確に対応していくため、引き続きファシリテーション研修やSDGs研修などを実施し、職員の資質向上を図るとともに、公務上必要な資格の取得に対する助成制度を新たに設け、人材育成に努めてまいります。また、採用にあたっては、「民間企業等経験者・スポーツ枠」による採用試験を実施するなど、幅広い人材の確保に努めるとともに、臨時職員の任用においては、会計年度任用職員制度に移行し、より働きやすい環境づくりを目指してまいります。

「財政運営」については、引き続き現年度課税分の徴収に重点を置き、滞納額の縮減に努めるとともに、給食費や保育料などの税外債権についても、庁内で連携を図りながら、公正かつ公平な負担の適正化を図ってまいります。

「公有財産管理」については、令和元年度に実施した公共施設の劣化度点検の結果を踏まえ、長寿命化計画(個別施設計画)を策定し、公共施設の総合的な管理に努めてまいります。

また、旧庁舎跡地の利活用については、庁内での検討結果をふまえ、「地域コミュニティを支える福祉的な拠点機能」「民間の活用」といった視点で検討を進めてまいります。



以上が令和2年度の市政運営と主要施策となります。




結びに



さて、当市の目指す「市民一人ひとりの幸福実感の向上」とは、行政が目指すべき最大の目標でありながら、最も困難なものであるといえます。人はそれぞれの価値観を持ち、幸せと感じるものも多岐に渡り、7万3千人の市民がいれば、7万3千通りの幸せの形があります。そうした中で、「幸福実感の向上」を目指すということは、まさに市民一人ひとりと向き合いながらまちづくりを進めてゆくのだという強い意志と行動力を全職員が持ち、市役所全体が一つのチームとして日々市政運営に取り組んでいかなければなりません。

先日、「まち・ひと・しごと創生総合戦略」の委員の方々から、吉川市の「市民意識調査」における「市民の幸福実感」の高さについて、驚嘆とお褒めの言葉をいただきました。平成26年には「75.0%」だったものが、この5年間で12.3ポイントアップし、「87.3%」という高い数値となっているのです。こうした数値結果やそれらに対する外部からの高い評価は大変光栄であり、職員一同、次に向かうエネルギーとなります。

しかし、「市民の幸福実感の向上」とは、私達行政が創り上げ、市民に与えるものではありません。市民一人ひとりが主体的にまちづくりに関わり、一気に変えられなくても、すべてが叶わなくても、今の事だけを考えるのではなく、「持続可能性」や「次世代の為の投資」という視点も持ちながら、一歩一歩、未来に向かって歩んでゆくことが、「このまちに住んで良かった」「このまちに住み続けたい」という「幸福実感」につながってゆくのです。つまり、「市民と行政の共動」こそが「幸福実感の向上」の出発地点なのです。けれど、この「共動」を進めてゆく過程には、信頼の構築、法律などの縛り、財政状況、時間の制約など様々な壁が次々と立ちはだかります。それが、先程述べた「最大の目標でありながら、最も困難なものである」という意味です。

ゆえに、私達行政は、数値や評価に一喜一憂することなく、各事業において「どのように市民との共動を図っているか」「どのように市民の幸福実感の向上につながっているのか」を常に考察し続けなければならないのです。

吉川市においては、「市長キャラバン」「どこでも市長」「市長とランチミーティング」「市民シンクタンク」「みらいステップアップ助成金」をはじめ、「地域課題を地域で解決するための勉強会」や「障がい者の地域での生活を考える検討会議」「子ども未来応援集会」「高齢化社会を見据えた地域づくりフォーラム」などをこれまで積極的に開催し、「市民と行政の共動」の土台をしっかりと築いてきました。吉川市における「市民と行政の共動」には、「困難さ」を打ち破る、パワーとスピード、そして何よりチャレンジ精神があります。

令和2年度は、そうした力強い「市民と行政の共動」を先頭に、「市民一人ひとりが幸福実感を得られる未来」「持続可能な未来」という「価値ある未来」に向け、「計画と実行」をさらに前進させる一年とすることをお誓い申し上げ、施政方針演説とさせていただきます。


令和2年2月25日 
吉川市長 中原恵人


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